2007 Fiscal Year Annual Research Report
低分子ヒドロゲル化剤の戦略的創製を指向したゲル化特性の類型化と評価
Project/Area Number |
06J02825
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 真治 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超分子 / ヒドロゲル / ゲル / レオロジー / 糖 / 脂質 / バイオマテリアル / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
開発した糖脂質型超分子ヒドロゲル化剤の物性について、レオメーターを使った定性的且つ定量的な評価を行った。目視観察で透明なヒドロゲルを形成する場合、貯蔵弾性率が角周波数に依存せず一定の値を示し、安定なゲルであることが証明ゴされた。一方、白濁したゲルでは、貯蔵弾性率が角周波数に依存し変動し、さらに損失弾性率とほぼ同等の値を示したことから、ゲル化点であるゲルlike物性であることが明らかとなった。複数の超分子ヒドロゲルの物性について系統的に評価した結果、糖部位はGalNAc型、スペーサー部はフマル酸型、コネクター部はグルタミン酸型、脂質テイル部はシクロヘキシルがそれぞれ重要なゲル化剤構造因子であることが明らかとなった。 特にフマル酸型スペーサー部位を導入した分子は、光異性化反応による光応答性ゲル-ゾル転移を示した。光応答性ゲルの開発は、高分子・超分子ゲルを含め希少であり、光ゲル-ゾル転移を迅速に示すヒドロゲルとしては初めての報告例となった。この光応答性ゲルファイバー網目(ナノメッシュ)の形成と崩壊制御に着目し、大腸菌の運動やマイクロビーズを修飾したF1-ATPase(モータータンパク質)の一分子レベルでの回転活性を制御することに成功した。 開発した超分子ヒドロゲルは、W/Oエマルジョン法によりナノ・ピコリットルサイズのドロプレットへの加工も可能であった。非接着性のドロプレット間界面に光照射すると部分的なゲルーゾル転移が生じ、その結果、光融合を示した。この現象を利用し、酵素反応を時間・空間的に制御した新規セミウェットコンテナーとしての展開にも成功した。上記のように、本年度では糖脂質型超分子ヒドロゲルの構造-物性相関を基に安定な超分子ヒドロゲルを見出し、さらに光応答型超分子ヒドロゲルの開発に成功した。また、開発したゲルを用いて、新規ナノ・マイクロバイオマテリアルとしての可能性も示した。
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Research Products
(5 results)