2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖質バイオセンサーのチップ化による糖鎖の網羅的解析
Project/Area Number |
06J02826
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古志 洋一郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レクチン / 糖質 / マイクロアレイ / タンパク質工学 / 蛍光 / ヒドロゲル |
Research Abstract |
マイクロアレイ上においてレクチンと糖質の結合を読み出すために「2分子消光回復システム」を利用した。この手法は、蛍光標識したレクチンに対応する糖質を連結した消光剤を認識させることで1度消光させ、その後に検出する糖質を加えることで消光剤が追い出され蛍光回復する。この手法により、レクチンの糖選択性を保持したままでの糖質の検出が可能となった。 また、マイクロアレイ基板上へのレクチンの固定化には、当研究室において開発された超分子ヒドロゲルを用いた。通常は、タンパク質の活性を保持したままでの基板上への固定化は困難であるが、ヒドロゲルを用いることで、レクチンの活性を保持しままでの基板上への固定化が可能となった。 以上の2つの手法を用いることで、6種の糖選択性の異なるレクチン(ConA, WGA, AAL, UEA-1,GSL-1,GSL-II)を固定化したマイクロアレイを開発した。本マイクロアレイを用いることで、単糖やオリゴ糖といたった低分子の糖質を蛍光により検出することに成功した。また複雑な構造の糖鎖をもつ糖タンパク質も、標識を行うことなく簡便に検出することに成功した。 このような単純な検出のみならずマイクロアレイの特徴を利用することで、大腸菌やヒトなどの哺乳類細胞などの破砕液を分析し、マイクロアレイ上での各レクチンの応答を統計学的に解析することで、細胞内の糖質によるパターン解析も可能となった。このパターン解析では大腸菌細胞と哺乳類細胞といった大きな分類のみならず、ヒト細胞間での由来の違いによる分類にも成功している。このような糖質レベルでのパターン解析は世界に例がなく、本研究成果をアメリカ化学会誌(学会誌等への発表の1)に報告した。
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Research Products
(1 results)