2006 Fiscal Year Annual Research Report
荒廃人工林流域における表面流の発生要因と水文過程に与える影響の解明
Project/Area Number |
06J02862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮田 秀介 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒノキ林 / 土壌撥水性 / 表面流 |
Research Abstract |
土壌撥水性が表面流発生に与える影響を明らかにするために管理放棄されたヒノキ林斜面において現地浸透能試験を行った。水を散布した試験結果に比べ,撥水性土壌にも容易に浸透するエタノール溶液を散布した試験結果は明らかに浸透量が大きかった。このことから,表層土壌(深度5cm以浅)において確認された撥水性が浸透を阻害し,表面流の発生に寄与していることが明らかとなった。同試験地において斜面プロットを設置し,表面流出量の観測を行った。表面流出率は降雨初期に大きく降雨の継続に伴って減少していた。土壌撥水性は乾燥時に強く働き,土壌の湿潤とともに弱くなることが知られており,表面流出率が降雨に伴って減少したことから,土壌撥水性は表面流の発生と流出量に大きく影響を与えることがわかった。さらに表面流の斜面の流下・浸透過程について検討するために小プロット(幅1m×斜面長2m)と大プロット(幅8m×斜面長20m)において表面流出量を観測した。単位幅当たりの表面流出量が小プロットと大プロットで同程度であったため,面積当たりの表面流出量は小プロットで大プロットの約10倍となる「表面流のスケール効果」(スケールが大きくなるほど流出率が減少する)が示された。さらに斜面長の異なる(0.5m〜5m)実験区画に対する人工降雨実験と染色実験により,表面流の水深がある閾値を越えるまで浸透は起こらず,流下過程で土壌への浸透強度と降雨強度が等しくなるために「表面流のスケール効果」が起こると考えられた。土壌への浸透は選択的な経路のみで起こることが示された。
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