2006 Fiscal Year Annual Research Report
巧緻な手指運動における脊髄抑制性介在ニューロンの役割
Project/Area Number |
06J02928
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武井 智彦 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 運動制御 / 脊髄 / 霊長類 |
Research Abstract |
本研究の目的は、霊長類が器用な指運動を行う際に、脊髄に存在する抑制性最終介在ニューロンがどのような機能的な役割を果たしているのかを明らかにすることである。第一年度を終えた時点での研究成果として(1)運動課題中のサル(ニホンザル)の頚髄から神経活動を細胞外記録する実験セットアップを立ち上げたこと、(2)1頭のサルに対してレバーを人差し指と親指でつまむ課題(精密把握課題)の訓練を完了したこと、(3)さらにそのサルの頚髄から指運動中の神経活動を記録してデータを収集したことが挙げられる。そのデータを解析した結果、記録された53個の神経細胞のうち81%に上る43個の細胞において運動課題に関連した活動変化を示すことが確認された。さらにそのうち4個の神経細胞において、手指の筋活動を促進する役割を果たしていることを確認することができた。これらの結果は、脊髄に存在する介在ニューロンのうち、特に興奮性介在ニューロンが微細な指運動の制御に大きく関与していることを示唆している。これまで得られた結果は、実験前に想定していた「脊髄の抑制性介在ニューロンが微細な指運動に重要な役割を担っている」という仮説とは異なったものであった。現在、この1頭目の結果を検証するために、別のサルに対して同様の実験を行う準備を進めている。その結果によって、やはり指の運動制御により主体的に関わっているのは脊髄興奮性介在ニューロンなのか、またサルの個体間でこれらの脊髄神経活動の役割はどれほど異なるのかを検証する予定である。
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Research Products
(1 results)