Research Abstract |
本研究の目的は,制約条件を扱えるなど,さまざまな利点を持つことから次世代の制御手法として期待されている予測制御法に関し,現実的な問題設定のもとで実装手法を構築していくことである.これを達成するため, 1.モデルの不確かさを考慮する必要がある, 2.制御に用いることのできる情報は制御対象の観測出力のみである, 3.高速に実装できる方法である, の三つの問題点に取り組んでいる. これらの問題を解決していくため,下記二つのアプローチから研究を進めた. 一つは目標値追従問題において,目標値列を改変しシステムに与えることで,制約条件を満たしたうえで,最適な追従性能を実現する手法である.この方法では,閉ループ系の時間領域での入出力情報のみをとらえるという点で出力フィードバック制御に適す.特に,時間領域で定義される不確かな入出力の情報を組み合わせる方法について,応答情報が定常値項を持つ場合へと拡張した.これは,フィードバック安定化された閉ループ系内に,入力制約が存在する場合に手法を適用する上で重要となる.本内容の一部は計測自動制御学会論文集に掲載され,また,海外雑誌にも投稿中である. 他方,システムの内部状態に基づいて最適入力列を決定する方法に関し,不確かな状態を楕円で記述していく方法に関して,米国の制御に関する会議(ACC2006)及び国際誌International Journal of Controlにおいて成果を発表した.ここでは,安定化条件を拡大するための新たな条件を与えている.これに加え,新たに有限な予測区間で原点に非対称な制約条件を満たすための条件を導出し,また,出力フィードバックへと拡張するため,ロバストオブザーバの設計を凸条件で記述する方法を検討した. このほか,状態に拘束条件を持つ場合のモデル予測制御を構築する際に重要な役割を果たす不変集合および,観測出力から制御対象の状態を推定するための有力な方法であるunscented Kalman filterに関して重点的に情報収集を行った.
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