2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02999
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 泰弘 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ラミンB受容体 / 核膜 / 1分子計測 |
Research Abstract |
本年度は、核膜内膜タンパク質とクロマチンの結合機構を1分子レベルで解析するための実験系の構築を重点的に行った。具体的にはGST融合タンパク質として発現させた核膜内膜タンパク質を、GSTを介して原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーに結合させ、核膜内膜タンパク質とクロマチンの結合力を測定する系である。核膜内膜タンパク質の1例として、核膜小胞のターゲッティングに必須であることが報告されていたラミンB受容体(LBR)を用いてLBR-クロマチンの結合機構を検討し、以下の結果を得た。 ・LBRの核質領域(1-211アミノ酸:NK)とその結合因子であるDNAおよびコアヒストンは、それぞれ36.3±13.0pN、36.4±12.4pNの結合力で結合するのに対し、塩透析法によって再構成したクロマチン(再構成クロマチン)もしくはアフリカツメガエル精子クロマチンとは、それぞれ56.4±13.6pN、53.7±13.5pNの結合力で結合する。この結果は、LBRはヌクレオソーム構造に安定に結合することを示唆する。 ・LBRを結合させたカンチレバーを用いて、AFM画像中に、LBRのクロマチン結合部位をイメージング(TREC法)した。すると、LBRはヌクレオソームに強い結合性を示すことがナノスケールで明らかになった。 次に、LBRの欠損体(Δ1-53、Δ1-89)およびNM領域のDNA結合能欠失点突然変異体(V12G、R15A、Y23F、V39G、D43A)を作成した。現在、これらの変異体を用いて、LBRのクロマチン結合能がLBRのin vivoでの挙動にどのような影響を与えるかをFRAP法(Fluorescence Recovery After Photobleach)を用いて検討しており、準備段階のデータではあるが、これら変異体は野生型に比べ、核膜内での動きが早くなるという結果を得ている。このデータは、LBRのクロマチンの結合力とin vivoにおけるLBRの動態が相関を持つことを示唆している。
|
Research Products
(2 results)