2006 Fiscal Year Annual Research Report
低温菌を宿主としたタンパク質生産系の開発:低温生産を支える分子基盤解明と応用
Project/Area Number |
06J03021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 良磨 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低温菌 / Shewanella livingstonensis / タンパク質発現系 |
Research Abstract |
現在、様々なタンパク質発現系が開発されているが、熱安定性の低いタンパク質等、常温では生産が困難なものが未だ数多く存在する。そこで、タンパク質がより安定な低温環境で効率よくタンパク質を生産できる系を構築することを目的として、低温菌を宿主とした新奇なタンパク質生産系の開発を目指した。また同時に、本菌の低温への適応機構の解析を行い、応用面にフィードバックすることも目指した。 前年度に開発した高発現用プロモーターPro3とShewanella livingstonensis Ac10株の系を用いて、好冷菌Desulfotalea psychrophilia由来のべプチダーゼ(PepF、LAP、PepQ)、およびグルコシダーゼ(BglA)の生産を試みた。好冷菌由来の酵素は一般に熱安定性が低く、実際、PepFの熱安定性を調べた結果、30℃、30分の処理で活性が半減した。PepFとPepQの生産量は、それぞれ50mg/L-culture、30mg/L-cultureであり、Escherichia coliを宿主とし、T7プロモーターを用いた発現系での生産量を上回った。 β-lactamaseをレポーターとしたプロモーター探索ベクターを用いて、低温誘導性プロモーターを探索した。その結果、inositol monophosphatase遺伝子(suhβ)のプロモーターが低温で高い転写活性をもつことが示された。18℃で培養したときのsuhβの転写量は、4℃で培養したときの約15倍であった。suhβを破壊したところ、低温での生育能の低下が見られ、suhβが低温での生育に重要であることが明らかにされた。
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