2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜型プロテアーゼメルトリンβによる神経筋接合部形成の制御機構の研究
Project/Area Number |
06J03040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯本 法弘 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経筋接合部(NMJ) / メルトリン / ephrin-A5 / EphA4 |
Research Abstract |
本研究室で同定された遺伝子メルトリンβ/ADAM19は、これまでの解析から心室中隔や心臓弁の形成に関与することが示唆されてきた。メルトリンβ欠損型(メルトリンβ-/-)個体は新生仔致死であり、この新生仔の致死性は横隔膜や肋間筋などの呼吸筋のNMJ形成不全によって引き起こされることが多く報告されていることから、私はメルトリンβのNMJ形成おける役割を解析した。E18.5の横隔膜において野生型では筋繊維の中心部にアセチルコリンレセプター(AChR)が集積し、それに対応して神経末端がシナプスを形成しているのに対し、メルトリンβ-/-ではAChRは散在し、神経末端の投射も乱れていた。これらの表現型を元に野生型とメルトリンβ-/-マウス胎仔横隔膜よりシナプス領域、または非シナプス領域を採取し、それぞれの部位における発現遺伝子をマイクロアレイによって比較した。その結果、本来野生型においてシナプス領域に発現が限局しているはずであるephrin-A5の発現が、メルトリンβ-/-においては非シナプス領域においても強い発現が認められた。Ephrin-A5はNMJに胎仔時期に限局的な発現が確認され、ephrin-A5-/-個体を用いた解析により、この遺伝子がNMJ形成に関与していることが示唆された。次にメルトリンβとephrin-A5のNMJ形成における機能的な関連を解析したところ、メルトリンβとephrin-A5のレセプターであるEphA4が末梢神経系において強い相互作用があることが明らかとなった。EphA4はephrin-A5と結合した後、その細胞内に複合体がエンドサイトーシスによって取り込まれるのであるが、メルトリンβがEphA4に相互作用することで、この複合体のエンドサイトーシスが著しく阻害され、メルトリンβがEph-ephrinシグナルを制御する可能性を見いだした。このメルトリンβの活性にはプロテアーゼとしての機能は必要なく、非常に新たな知見を与えるものとなった。本研究によってNMJ形成における新たな分子の関与やそのメカニズムの一端が明らかとなった。上記の結果は現在国際雑誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)