2006 Fiscal Year Annual Research Report
共生窒素固定に関与するマメ科植物のABC蛋白質の機能と生理的役割
Project/Area Number |
06J03051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 暁史 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミヤコグサ / ABC蛋白質 / 共生窒素固定 / 根粒形成 / ゲノム解析 / PDR / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
本研究では、共生窒素固定(SNF)において重要な役割を担うマメ科植物のABC蛋白質を同定し、その物質輸送機能と生理的意義を包括的に明らかとすることを目的としている。本年度は、かずさDNA研究所より入手したミヤコグサのゲノム情報を利用してABC蛋白質の全ゲノム的解析を行った。まず、断片的な配列を用いてゲノム解析ができる"domain-based clustering analysis"法を考案した。本方法は、ABC蛋白質がヌクレオチド結合領域と膜貫通領域から構成されることを利用し、系統解析において全アミノ酸配列ではなく、各領域ごとの配列を用いる点が特徴的である。本方法を用いてミヤコグサゲノムを解析した結果、91個の推定ABC蛋白質遺伝子を見出した。 各々の配列をより詳細に解析したところ、ミヤコグサにはシロイヌナズナのAtMRP14とAtPDR12に高い相同性を示す遺伝子クラスタが大きいことが判明し、それぞれ少なくとも6、5種類のメンバーが認められた。これら遺伝子の各々の発現プロファイルをリアルタイムPCR法で解析すると、いくつかの遺伝子は根粒形成によって正に発現調節されていることが明らかとなった。特にCM0026.74(以下LjPDR1)は根粒形成過程で顕著に誘導されることから、今後詳細な解析を進める候補遺伝子とし、LjPDR1の全長cDNA及びプロモーター領域を単離した。その後、RNAiによる発現抑制株作成用、及びPromoter : GUS発現用コンストラクトを作成し、これらのコンストラクトを導入したアグロバクテリウムを用いてミヤコグサの形質転換を開始した。また、酵母や昆虫細胞を用いた輸送解析を行うため、一連の異種発現用コンストラクトを作成した。今後は形質転換体を用いた網羅的メタボローム解析を行い、推定された輸送基質候補を用いて、異種発現系での輸送解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)