2006 Fiscal Year Annual Research Report
震源物理に基づいた断層破壊過程の推定と大地震動に関する研究
Project/Area Number |
06J03057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 公之 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 断層破壊過程 / 地震動 / すべり速度 / 震源モデル / 経験的グリーン関数 / 強震動 |
Research Abstract |
平成18年度は,大地震の際に観測される大地震動の成因を震源の断層破壊過程の観点から解明するため,以下の研究を実施した. 1.広帯域強震動の生成に深く関わるすべり速度を精度よく推定するための新たな広帯域波形インバージョン法を開発した.経験的グリーン関数を用い,1Hz以下の速度波形と1Hz以上の加速度エンベロープを同時にインバージョン解析することにより,断層面上のすべり量のみならず最大すべり速度分布を精度よく推定することに成功した.開発した手法を2003年5月26日に宮城県沖(深さ72km)で発生したスラブ内地震の強震記録に適用した結果,アスペリティでの最大すべり速度が10m/sであること,2つのアスペリティの破壊様式の特徴が推定された. 2.2004年新潟県中越地震の震源過程を推定した.観測点毎に小地震記録を使って決めた速度構造モデルを用いることにより,信頼性の高い震源モデルが得られた.他の内陸地震の結果も併せ,深いアスペリティ(すべりの大きい領域)ほど応力降下量が大きく,地表出現アスペリティは伏在アスペリティのそれよりも小さいことを見出した.これは,両者の地震動特性の違いとも調和的である.また,観測点の組み合わせを変えたインバージョンを実施し,その解を比較整理することにより,アスペリティの位置推定やすべり量の,データセットに対する依存性を調べた.本研究では,高精度の速度構造モデルを構築しているため,12観測点以上用いれば安定した解が得られることを示した.,このように安定な震源モデルを求めそれを評価する一連の方法論を示したことは,震源過程の推定とその解釈において重要な成果である. 以上の研究成果は学会等で発表し,査読付き欧文雑誌に論文投稿中及び投稿準備中である.また2005年福岡県西方沖地震の震源過程と強震動について,論文発表を行った.
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Research Products
(2 results)