2006 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ・モドゥプール森林地帯における天然林保全と保全地域管理の地域問題
Project/Area Number |
06J03107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東城 文柄 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 森林減少 / 自然環境保護政策 / バングラデシュ / 国立公園 / 地理情報システム / ガロ / 焼畑 / 持続性 |
Research Abstract |
森林減少と一概に見なされていた問題を、地域の森林環境の変化と環見影響上の意味、そして変化の背景にある地域社会などの観点から正しく認識・評価し、研究地域の本質的な問題点を考察する基本的な視点を確立したことが、平成18年度の研究実績であった。 第一に、先行する現地調査の結果にリモートセンシング(RS)や地理情報システム(GIS)の分析結果を加えて、バングラデシュ・モドゥプール森林における環境保護政策の問題点に関する研究を進めた。結果研究地域における自然環境問題は、実際には国立公園域での政府・森林庁の不適切な管理(保護すべき天然林の人工林転換)であり、これまでなされていた地域住民による劇的な森林消失という問題認識は、国有林域の設定時(1950年代)の過大な森林域の境界設定による実体のないものであることが明らかになった。この結果は18年11月の京都シンポジウムでの発表等を経て、現在「アジア経済」誌へと投稿中である。 第二に、やはり先行する詳細な現地調査と文献資料に基づいて、英領期後期におけるバングラデシュ・モドゥプール森林におけるガロ社会と彼らの生業(焼畑耕作)の形成過程に関する研究を進めた。結果これまで森林破壊の元凶と見なされていた少数民族ガロの焼畑耕作が、かつての地域の環境(サラソウジュ林)持続性と社会持続性において重要な要素であったことを明らかにした。この結果は18年10月の日本熱帯農業学会での発表等を経て、現在「熱帯農業」誌もしくは他の適切な学会誌への投稿を検討中である。
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Research Products
(1 results)