2007 Fiscal Year Annual Research Report
巧みな動作や素早い動きにおける眼球運動と肢運動の協調制御
Project/Area Number |
06J03121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國部 雅大 Kyoto University, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 眼球運動 / 眼と手の協調 / 周辺視野 / 反応時間 / スポーツ / 輻輳 |
Research Abstract |
本研究の目的は、素早くかつ正確な種々の反応動作を行うために、眼球運動がどのように寄与しているかを検討することである。昨年度は、周辺視野視覚刺激が呈示される平面よりも遠方に注視点をおいた場合、呈示平面の手前に注視点をおいた場合に比べてキー押し反応時間が有意に短縮することを示した。この結果から、奥行き方向における肢の到達動作においても同様に、奥行き方向への注視位置が速く正確な動作に寄与しているかについて検証する必要があると考えられた。 そこで本年度は「奥行き方向における注視位置が到達動作の速さおよび正確さに与える影響」をテーマとした実験を行った。奥行き方向に対して肢の到達動作を行う際には、両眼が非共役的に動いて奥行き注視の調節を行う輻輳・開散眼球運動が重要と考えられる。そこで注視点を予めターゲットの近方あるいは遠方に向けることが、奥行き方向へのターゲット到達動作の制御に与える影響を調べることを目的とした。被験者は右手示指を眼球位置の前方20cmに位置させた状態で、近方(眼球位置の前方20cm)あるいは遠方(60cm)のLEDを注視して準備し、前方3ケ所(30、40、50cm)のいずれかの位置に呈示されたターゲットLEDに対し、眼球注視および示指到達動作を行った。全てのLEDは眼球位置と同じ高さに設置することで、輻輳・開散の眼球運動成分のみを独立して抽出した。 その結果、距離40cmおよび50cmのターゲットに到達する場合、近方注視条件に比べ、遠方注視条件において有意に手の到達動作速度が速く安定していた。また、到達動作中の輻輳眼球運動は開散眼球運動に比べて安定した挙動を示した。これらの結果から、奥行き方向への到達運動を制御する際には、奥行き方向への注視位置、およびそれに伴う輻輳・開散眼球運動が動作の速さや安定性に影響を与える可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)