2006 Fiscal Year Annual Research Report
巧みな動作や素早い動きにおける眼球運動と肢運動の協調制御
Project/Area Number |
06J03121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國部 雅大 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 眼球運動 / 眼と手の協調 / 周辺視野 / 反応時間 / スポーツ |
Research Abstract |
本研究の目的は、素早くかつ正確な種々の反応動作を行うために、眼球の注視状態および眼球運動がどのように寄与しているかを検討することである。 これまでの研究で、周辺視野の視覚刺激に対してできるだけ早く反応する課題において、球技(バレーボール)選手は一般成人に比べて、眼球運動と手指運動をあわせて反応する際に、眼球運動の指運動への干渉の度合いが小さいため素早い反応ができる可能性を示した(Kokubu et al.,2006)。これまで素早くかつ正確に反応する際に注視点や注意の焦点をどこに置けばよいかという実験の多くは、注視点を含む2次元平面上で議論されてきた。これに加えて、スポーツの場面では、相手と対峙する際に起こる眼球運動を用いた奥行き方向での注視や注意を考える必要がある。そこで本年度は、奥行き方向への視覚刺激を呈示するため、小型のマイコン(PIC)を用いて視覚刺激ダイオード(LED)を呈示させるプログラム装置の作成を完了した後、その装置を用いて実験を行った。 本年度は「注視時の焦点距離が周辺視野反応時間に与える影響」をテーマとし、奥行きを含めた3次元空間内において注視点の距離を被験者に対して前方および遠方に設定することが、周辺視野に対する単純反応時間に与える影響について調べた。その結果、視覚刺激が呈示される平面よりも遠方に注視点をおいた場合、呈示平面の手前に注視点をおいた場合に比べて有意に反応時間が短縮した。これは、スポーツなどの場面で焦点を遠くにおくことにより様々な相手の動きに対してすばやく反応ができるという経験則について実験的に調べた研究であると位置づけられる。今後、様々な反応動作や被験者群を用いて、早く正確な反応動作における眼球運動の寄与をより詳細に調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)