2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米澤 進吾 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化物超伝導体 / 3次元電子ガス / 電気抵抗率 / ホール係数 / ゼーベック係数 / 伝導電子密度 / 不純物効果 |
Research Abstract |
本研究の主対象物質であるAg_5Pb_2O_6は、3次元電子ガスの典型である「単一バンドからなる球状のFermi面」を持ちながら超伝導を示す非常に珍しい例である。特にこの物質は伝導電子密度が通常金属に比べて1-2桁ほど低く、低電子密度の電子ガス系であるという見方が重要なのではないかと考えられる。電子密度の低下はクーロン遮蔽の低下を招き、長距離のクーロン相互作用の重要性を増すと考えられ、非常に興味深い。 本年度の研究はこのような方向性で、Ag_5Pb_2O_6の超伝導および常伝導状態の性質を解明するための研究を行った。 まず、常伝導状態で抵抗率が温度の二乗に比例するという温度依存性の起源を解明するため、磁場中での電気抵抗率(磁気抵抗)・ホール係数・ゼーベック係数などを測定した。詳細な研究により、磁気抵抗にはわずかながら温度変化に伴うKohler則からのずれがあることや、ホール係数がわずかに温度依存性を持つことが明らかになった。これらの磁気輸送特性の温度変化は、緩和時間の異方性が温度とともに変化していることを示唆している。また、ゼーベック係数の温度依存性もこのシナリオを支持していると考えられる。 また、今年度は超伝導における不純物効果やキャリア数依存性の測定のため、銅をドープした粉末試料を水溶液合成により作成した。しかし、この方法で作成した純粋なAg_5Pb_2O_6の粉末試料が超伝導を示さなかったため、超伝導の不純物効果やキャリア数依存性の解明にはこの方法で作った粉末試料は使えないことがわかった。また、銅をドープした粉末試料に1K以下の低温で磁気秩序相の存在が示唆されたが、この磁気秩序層の性質や秩序相が本質的なものかどうかも含めて解明には至っていない。
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Research Products
(1 results)