2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮田 裕光 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プランニング / 心的表象 / 問題解決 / ハト / ヒト幼児 / 迷路 / タッチモニター / 比較認知科学 |
Research Abstract |
ヒトから系統的に遠いハト(Columba livia)およびヒト(Homo Sapiens)幼児を対象として、問題解決場面におけるプランニング能力を検討した。プランニングは、心的表象を操作することでみずからの行動を予期したり調整したりする過程をさす。まずハト3個体に、コンピュータのLCDモニター上で、標的刺激を目標刺激までモニターに反応することによって運ばせるという方式で空間移動課題を解かせ、標的と目標とが十字形の領域内に囲まれている迷路課題を解くことを訓練した。標的と目標とは、試行のはじめにはそれぞれ十字形の腕の先端に置かれていた。「同一課題」条件においては、目標の位置が1試行内で一定であったが、「課題変化」条件においては、標的が十字の中央の位置に来た瞬間に、目標が別の腕の先端に移動した。その結果、ハトは学習された位置の組み合わせ・新奇な位置の組み合わせの両方について、「課題変化」条件で目標の位置が変化した直後に、元の目標の位置に標的を動かす誤反応を示した。また、正しく反応した試行では、誤反応の試行にくらべて反応時間が長かった。このことは、ハトが迷路課題の遂行中に、中央の先の1手をプランニングし、かつ行動調整していることを示唆している。次に、十字迷路の変形版を用いて、課題が事前に呈示されたあとで、目標が別の腕の先端に移動するテストをおこなった。ハトは元の目標の位置に標的を動かす誤反応を示し、正しく反応した試行では、誤反応の試行よりも反応時間が長かった。これは、ハトが課題解決を開始する前に、標的を動かす向きをプランニングしていたことを示唆している。ヒト3-4歳児にも、ハトと同様の十字迷路によるテストをおこなった。結果はハトに類似しており、4歳児では3歳児よりも正反応の割合が高かった。このことから、系統位置び発達段階の異なる2種の間で、課題解決のアルゴリズムが共通あるいは類似している可能性が示唆される。
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