2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮田 裕光 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心的表象操作 / ハト / プランニング / 巡回セールスマン問題 / 経路選択方略 / kea / 鍵開け課題 / 人工果実 |
Research Abstract |
筆者は、鳥類およびヒト幼児において、問題解決行動にかかおる表象操作能力について検討を続けてきた。平成20年度には、まず前年度に引き続け、ハトにおいて標的刺激をつつき反応によって誘導させることで、複数の目標刺激に順に到達させる、コンピュータ画面上の巡回セールスマン問題における経路選択方略を検討した。3個の目標を四角形の辺上に配置したテストで、ハトは右回りまたは左回りに順に目標に到達していく戦略を取り、最短の経路を取った割合が他の経路にくらべて有意に高かった。3個の目標を直線上に配置したテストでは、ハトは最も距離の近い目標に最初に到達した。3個の目標のうち2個が近接する群を形成した課題では、ハトは群を最初に選好した。これらは、ハトが各課題において、偶然レベルよりも効率のよい方略で課題を解く心的方略を用いている可能性を示唆する、重要な知見だといえる。さらに前年度に引き続き、オーストリア共和国ウィーン市のコンラートローレンツ動物行動学研究所に滞在し、G.Gajdon博士およびL.Huber准教授と共同でkea(和名:ミヤマオウム)のプランニング能力を検討した。正方形のふたの周囲に複数の鍵が設置され、keaは鍵を取り外すことで、中の報酬を手に入れることができた。種々の鍵の配置を用いた一連の課題で、keaは試行錯誤的な解決方略を優勢に示したが、2段階の鍵の操作が必要な複雑な課題では、事前に鍵を観察していた条件で誤反応を早く修正する傾向を示した。これは、天敵がおらず食物の乏しい野生環境下で試行錯誤的に食物を探索する本種の生態と、プランニング能力に対する種間に共通の選択圧が共に作用した結果である可能性がある。
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Research Products
(3 results)