2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルベルトゥス・マグヌスにおける知性論と幸福概念の関係について
Project/Area Number |
06J03149
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横田 蔵人 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルベルトゥス・マグヌス / 『デ・アニマ』(De anima) / 志向性 / 知性単一説 / アヴェロエス主義 / 表象主義 / 心の哲学 / 1277年の断罪 |
Research Abstract |
本研究はアルベルトゥスの知性論を主に中期著作『デ・アニマ註解』に基づき、(1)同註解の構成素材となっている歴史的諸源泉の推定作業を行うこと、(2)ならびに、歴史的コンテクストにおける中世知性論の特色を明らかにすることを目的としている。本年度補助金は、主に、上記の研究を遂行するための文献の購入費に当てられた。 (1)歴史的遡源研究に関連して、アルベルトゥスの知性論のうち特に「知性単一説」と呼ばれる問題に関連するテクストを、13世紀中から後半におけるイスラム思想の継受という観点から、アヴェロエス『デ・アニマ大註解』ならびにアヴィセンナ『治癒の書の霊魂論』等と対比し、アルベルトゥスが前者の立場から後者の立場へと移行するに至った諸理由の解明を行った。この研究の成果は「知性のうちなる存在-アルベルトゥス・マグヌス-」論文として公表された。 (2)歴史的コンテクスト研究に関連して、中世思想に「知的対象の存在論」と言うべき独特な問題領域が存在することを認識し、これに相当するものとしてアルベルトゥスをはじめとする13、14世紀のテクスト読解を幅広くおこなった。補助金の大部分はこのための資料収集に当てられた。作業は目下継続中であるも、成果の一部については「esse repraesentatum obiecti sit idem realiter cum forma repraesentante?」として口頭発表された。口頭発表において提示された見解は今後一層の発展が期待されるものであり、また、国内に類例のない研究領域を開削することができた。来年度には成果を研究論文として公刊する予定である。
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Research Products
(1 results)