2008 Fiscal Year Annual Research Report
性同一性障害者とその家族に対する発達的観点からの支援に関するアクションリサーチ
Project/Area Number |
06J03155
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荘島 幸子 (湧井 幸子) Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 性同一性障害者当事者 / 家族 / 質的心理学 / 語り / ナラティヴアプローチ / 縦断的アプローチ / インタビュー / フィールドワーク |
Research Abstract |
研究3年目は、これまで発表を行ってきた各研究について、博士論文としてまとめあけた。研究としては、本研究が課題とした4つの目的(目的1:発達的視点を備えた性同一性障害者の発達過程の検討、目的2:性同一性障害者を抱える家族に働きかける援助モデルの構築、目的3:治療中,治療終了後の性同一性障害者に対する心理的社会的援助モデルの構築、目的4:環境要因としての学校や職場とのリエゾン的介入モデルの構築)について、一定の成果を上げることができた。具体的には、これまで、性同一性障害者当事者への支援に関しては、おもに医療による個別支援に重点がおかれていたが、本研究では、性同一性障害者当事者と家族、あるいは友人といった関係性において心理学的・環境調整的支援を行うことを提案した。当事者と家族への縦断的インタビューを行い、それぞれの内的世界や人生の経験を拾い上げることによって、従来の医療による支援を補う有効なモデルを見出すことができた(くいちがいモデル・つなぎモデル・はなれモデル)。そして、各モデルを当事者と家族のライフストーリーと照らし合わせることで、学校や、家庭といった個別の環境のなかでの支援について検討した。今年度は、研究1年目および2年目に引き続き、学会発表を積極的に行った。また、積み重ねられた研究を共有すべく、他の研究者との意見交換を行い、また、方法論に関する議論を深めた。アウトリーチ活動として、研究者は性同一性障害および性別違和をもつ若者の自助グループにおいて、親子交流会の心理スタッフとして活動してきた。そこでは、本研究で見いだされたモデルを適宜現場に還元しながら、より柔軟で頑健なモデル構成へと反映させることができた。次年度も、本研究課題によって達成された成果をさらに精緻化するために、研究と現場を往還したい。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
荘島幸子(分担執筆)
-
Journal Title
「性別/身体を越境するという物語」(第1章)揺らぐ境界 越える境界 あたらしい世界のかたち(書名)(東信堂) (印刷中)
-
-
-
-
-
-
-
-