2006 Fiscal Year Annual Research Report
性同一性障害者とその家族に対する発達的観点からの支援に関するアクションリサーチ
Project/Area Number |
06J03155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荘島 幸子 (湧井 幸子) 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 性同一性障害 / 生涯発達心理学 / 物語論アプローチ / 質的研究 / 病いの経験 |
Research Abstract |
研究1年目は、目的1:発達的視点を備えた性同一性障害者の発達過程の検討、目的2:性同一性障害者を抱える家族に働きかける援助モデルの構築、目的3:治療中、治療終了後の性同一性障害者に対する心理的社会的援助モデルの構築の達成を狙い、主に性同一性障害者当事者及び家族へのインタビューデータを収集した。当事者および家族へのインタビューは、研究者との信頼関係を構築した後になるため、いくつかの自助グループや家族を選択し、継続的にフィールドとかかわった。 若いユースの当事者支援のグループのスタッフとして研究者ならびに援助者としての立場で参入しているケースもあり、次年度からの研究につながる重要な足がかりを獲得することができた。インタビューは当事者、家族合わせて10組程度ではあるが、継続して関わり、縦断的データを得ることに重きを置いている。なぜなら、治療前、治療中、治療終了後というプロセスの中で生き抜く当事者象を捉える必要があるからである。2007年3月現在、数名のインタビューデータをもとに、支援・介入のための分析を行っている。 また、今年度は、論文投稿、学会発表を積極的に行った。そして、当事者、家族への理解を深化させるだけではなく、研究、分析の土台となる理論および方法論を整備し、当事者理解の可能性をさらに拡張させた(自己物語論アプローチの理論的検討と新たな視点の提起)。学会発表では、自らの研究を提示し、さまざまなフィールドで実践的に活動されている方々とのネットワークを持つことができた。次年度は、国内だけでななく、国外へと視野を広げて活動を行っていく予定である。 学校(中学校・高校)や自助グループにて行っているアウトリーチ活動の足場を得て、引き続き活動を行っていく。学校では、スクールカウンセラーという立場で関与し、諸活動を行っている。自助グループでは、研究者/臨床家という立場で参与している。当事者スタッフとの連携、家族との交流から得るものは大きい。まだ活動の方向性は模索段階であるが、交流や会の催しなど活動そのものに意義を見出している。
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Research Products
(2 results)