2007 Fiscal Year Annual Research Report
性同一性障害とその家族に対する発達的観点からの支援に関するアクションリサーチ
Project/Area Number |
06J03155
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荘島 幸子 (湧井 幸子) Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 性同一性障害 / 家族 / 質的心理学 / 語り / ナラティヴアプローチ / 縦断的アプローチ / インタビュー / フィールドワーク |
Research Abstract |
研究2年目は、目的1:発達的視点を備えた性同一性障害者の発達過程の検討、目的2:性同一性障害者を抱える家族に働きかける援助モデルの構築、目的3:治療中,治療終了後の性同一性障害者に対する心理的社会的援助モデルの構築の達成を狙い、縦断的に得られたインタビューデータの分析を着実に行ってきた。また、自助グループでの活動や調査も継続し、当事者との密接な関わりを持ちながらの研究及び分析を行うというスタンスを固めてきた。その結果、従来の、そして想定していたアンケート調査から得られる結果の深い根底の部分を、当事者とともに研究者が探索的に分析を行うことが可能となり、貴重な結果を得ることに成功している。それらの結果の一部については、今年度発表される論文や投稿中の論文で取り扱われた。今後も、できうる限り、当事者および家族に密着した形式で、リアルな現実の世界や他者とともに構築される共同的世界を描いていく所存である。そのなかで、目的としている介入モデルの構築を目指したい。今年度は、インタビューのみならず、フィールドワークにも力をいれ、これまで研究者が得てきた視点を相対化する作業にも重点を置いた。また、国外(アメリカ合衆国)の状況も短期間ではあるが、目にしてきた。文化の違いや生き様の違いから、やはり本邦独自の支援が必要であることを痛感している。来年度はアジア諸外国の状況とも比較することを考えている。 今年度は、昨年度に引き続き論文投稿、学会発表を積極的に行った。また、積み重ねられた研究を共有すべく、同じテーマもしくは近いテーマで研究を行っているほかの研究者との意見交換も行った。来年度も、このような場の設定には力を入れていきたい。さらに、研究者間だけではなく、一般に「性同一性障害」「性的少数者」といった人々に馴染みの薄い一般の人々や学校関係者に向けて話しをする機会を持ち、アウトリーチ活動の重要性を身に染みて感じた。研究室のパソコンに向かって分析をし、知見を得つつも、それを外部へと開き、実践を重ね、そして、実践しながら研究するアクションリサーチ的研究にも励んでいくつもりである。
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Research Products
(9 results)