2007 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ時間領域分光法を用いた水溶液中における生体分子の機能発現機構の研究
Project/Area Number |
06J03184
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有川 敬 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | テラヘルツ / THz / 水和 / 全反射減衰分光法 / ATR / 生体分子 / 自己組織化 / ミセル |
Research Abstract |
昨年度の研究で提案した手法を発展、応用させ、様々な物質(糖、アミノ酸、生体高分子など)の水溶液中での水和状態を研究した。その結果、本研究で用いたテラヘルツ時間領域全反射減衰分光法と新規な解析手法で、水和状態を定量的に正しく評価できることがわかった。水和水は室温、水環境下での生体分子の立体構造安定化、機能発現ダイナミクスにおいて重要な役割を担っていると考えられている。従って、水和水の性質を定量的に調べることは必要不可欠であり、本課題の研究成果は今後の当該分野における研究の発展に貢献すると期待できる。また、本手法を用いて水和状態の濃度依存性、温度依存性を調べた。これらのデータから、溶液中での溶質分子による水和水の共有状態などを調べることができた。 また、本手法は水溶液中で自己組織化(ミセル化)するアルコール(2butoxyethanol)の凝集状態を調べることにも応用できることがわかった。生体の機能発現機構において、自己組織化現象が果たす役割は大きく、本手法で得られる情報から今後さらなる知見が得られることが期待される。さらに、このアルコール水溶液系は温度約50℃以上で下部臨界温度型の相分離現象を示す。このようなタイプの相分離現象のミクロスコピックな詳細はわかっておらず、本研究はこのような現象の詳細な理解にもつながると考えられる。
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Research Products
(4 results)