2006 Fiscal Year Annual Research Report
30cm角大型ガンマ線カメラの長期気球実験・衛星搭載に向けての開発・性能評価
Project/Area Number |
06J03209
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 香里 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 宇宙線 / ガンマ線 / コンプトンカメラ / ガス検出器 / MeVガンマ線天文学 |
Research Abstract |
電磁波天文学は、0.75〜30MeVでは、COMPTELの観測のみしかない。COMPTELは他の領域と比べて1桁以上感度が悪く、同じくCGRO衛星に搭載されGeV領域を観測したEGRETが発見した天体の数より1桁少ない。したがって、ガンマ線全天探査によって、さらなる天体の発見が見込まれる。そこで我々は、0.1〜20MeVでCOMPTELの10分の1(10mCrab)の感度、数度の角度分解能(3-6度:1MeV以下、1-3度:1-10MeV、1度以下:10MeV以上)で全天探査を行うことを目指して、電子飛跡追跡型のガンマ線カメラを開発している。この検出器は、コンプトン散乱による反跳電子をとらえるガス検出器(μ-TPC)と、散乱ガンマ線をとらえるシンチレーターから成っている。 これまでは、10cm立方のμ-TPCからなるガンマ線カメラで原理実証を行ってきたが、目標としている感度を達成するためには、検出器の大型化が必要不可欠である。そこで、μ-TPCの読みだしである大型ガス検出器30cm角μ-PICを開発し、30cm立方のμ-TPCを製作した。一作目の30cm角μ-PICは電極のメッキ厚が一様でないために、電極の場所によってガス利得がばらついていたが、メッキ厚を一様がなるよう、製造工程を改良し、ばらつきを改善させた。現在の30cm角μ-PICは、ガンマ線カメラとして用いるには、ガス利得が十分ではない。そこで、23cm×28cmGEMを製作、性能評価した後、前置増幅器としてμ-PICと組み合わせて、ガス利得を向上させた。そして、およそ30cm立方のガス領域を組み合わせ、μ-TPCを作成した。また、KEKと共同で、検出器の信号読み出し回路のLSIの高密度化を行っており(8ch/1chip)、テストチップの評価を行った。 μ-TPCの動作確認をした後μ-TPCとアンガー型NaI(Tl)シンチレーターを組み合わせて、ガンマ線カメラを組み立てた。そして、実験室でガンマ線ソースを照射して、点線源のイメージングに成功し、また二つの点線源のイメージを分離することに成功した。
|
Research Products
(4 results)