2008 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ジェン配位子の新規開発とこれを用いた遷移金属触媒による不斉反応の研究
Project/Area Number |
06J03229
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 和紘 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | キラルジエン配位子 / Diels-Alder反応 / α-フェランドレン / 触媒的不斉合成 / ロジウム |
Research Abstract |
これまでの研究で様々なキラルジェン配位子が開発され,ロジウム触媒による不斉付加反応を中心とした様々な系において高い活性,選択性を示すことがわかってきたが,その合成は多くの場合多段階を要する,またはキラルカラムによる光学分割を必要とするなど合成上の課題は多い.そこで今年度は,入手容易な天然原料である(R)-(-)-α-フェランドレンを出発物質として,短工程で合成可能なキラルジエン配位子を開発した.この一連のキラルジエン配位子では,二つの置換基のうち一方の電子状態,立体の大きさを調節した非対称な配位子を簡便に合成可能なため,各々の反応にあった適切な配位子を合成することにより触媒活性や選択性の向上が期待できる.そのような例として,一方の置換基のみを嵩高くしたキラルジエン配位子を用いることにより,ロジウム触媒によるα,β-不飽和ケトンヘの有機ボロン酸の不斉1,4-付加反応において非常に高いエナンチオ選択性を達成することに成功した.また,この合成法において一段階で得られる,エステルが二重結合に直結したジエン配位子は,アリールボロキシンのN-スルホニルイミンヘの付加反応において高活性かつ高エナンチオ選択的な触媒を与えることがわかった.この系では0.3mol%という低触媒量においても反応は収率よく進行した.エナンチオ選択性についても,嵩高いエステルを有する配位子を用いることにより,種々のイミンとボロキシンの組み合わせにおいていずれも97%ee以上という非常に高いエナンチオ選択性で目的生成物を得ることに成功した.
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Research Products
(2 results)