2007 Fiscal Year Annual Research Report
ボウル型ポルフィリン誘導体の開拓-サブポルフィリン・バッキーポルフィリン合成-
Project/Area Number |
06J03230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猪熊 泰英 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン |
Research Abstract |
昨年度、基本的な合成法あ確立および物性の解明に成功したサブポルフィリンの化学を今年度は大きく発展させる事に成功した。サブポルフィリンの周辺置換基にカルボキシ基を導入し、中心ホウ素原子上に配位させる事で、初のサブポルフィリン超分子多量体の合成に成功した。この多量体はカルボキシ基の導入位置により、2量体や4量体を定量的、可逆的、かつ選択的に作り分けることができる。従来、サブポルフィリンのホウ素上に配位したカルボキシ基は溶液中でヒドロキシ基との平衡があり、単一のカルボキシ体を溶液状態で扱うことは困難であったが、この超分子多最体では溶液中、水の存在下でも安定で分解せず、加熱条件にも安定であるため、今後のサブポルフィリンを用いた光合成モデルの設計、機能性ポリマー等への応用に大いに期待が持てる。また、サブポルフィリンの合成において、副生成物を詳細に分析することによりサブクロリンという新しいボウル型環縮小ポルフィリンの発見に至った。このサブクロリンはクロロフィル骨格に代表されるクロリン環と同様にβ位が還元を受けた構造を有し、基本的な形はサブポルフィリンとほとんど変わらない。しかし、その分光学特性はサブポルフィリンのそれと大きく異なり吸収や蛍光スペクトルの長波長シフトが観測された。この変化は、自然界に見られるポルフィリンとクロリン骨格間のそれに酷似しており、環が縮小されながらもポルフィリノイドとしての性質を尚も保持しているサブポルフィリンの今後の研究対象としての重要性を改めて示す結果となった。
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