2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 泰央 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 環拡張ポルフィリン / 金属錯体 / 芳香族性 / メビウス芳香族性 |
Research Abstract |
まず、従来の環拡張ポルフィリンの合成法を見直し、より高濃度の条件下で反応を行なう事で、最高でピロール18個からなるオクタデカフィリンまでの、種々の環サイズからなる環拡張ポルフィリンを単離同定した。10個のピロールからなるデカフィリンについてはX線結晶構造解析によってその構造を明らかにした。 次に、この合成法から比較的収率よく得られる、8個のピロールからなる非芳香族化合物である[36]オクタフィリンについて、金属錯化に伴う構造と芳香族性の変化を検討した。[36]オクタフィリンに対し酢酸パラジウムを用いて錯化を行なうと、2種類のパラジウム二核錯体が、51%、20%の収率で得られた。前者は[36]オクタフィリンと同様のヒュッケルトポロジーからなる8の字型構造を有するが、8つのピロールのうち2つが反転し、そのベータ位でパラジウムと結合を形成していた。一方後者は、ピロールを3つ反転させ、共役面は嚢表のないメビウスの輪のようなトポロジーを有しており、やはり反転したピロールとパラジウムが結合を形成していた。興味深い事に、ヒュッケル型パラジウム錯体は、非平面構造にもかかわらずNMRスペクトルにおいて大きな反遮蔽効果が観測され、反芳香族性を示す事を確認した。一方メビウス型パラジウム錯体は、NMRスペクトルにおいて明らかな遮蔽効果が観測され、ヒュッケル則を満たさない36π電子系にもかかわらず強い芳香族性を示す事を確認した。メビウストポロジーを持つ共役系は4n個のπ電子を有する場合に芳香族性を示しうると言う理論的予測は「メビウス芳香族性」として古くからなされていたが、分子内にかかる歪みが大きいために、そのような分子を合成する事は非常に困難であった。今回、パラジウムの配位によってメビウス型のトポロジーを固定する事によって、初めて明確なメビウス勢香族性を示す分子の合成に成功したと言える。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Metalation of Expanded Porphyrins: A Chemical Trigger Used To Produce Molecular Twisting and Mobius Aromaticity2008
Author(s)
Yasuo Tanaka, Shohei Saito, Shigeki Mori, Naolci Aratani, Hiroshi Shinokubo, Naoki Shibata, Yoshiki Higuchi, Zin Seok Yoon, Kil Suk Kim, Su Bum Noh, Jong Kang Park, Dongho Kim, Atsuhiro Osuka
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Journal Title
Angewandte Chemie International Edition 4
Pages: 681-684
Peer Reviewed
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