2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物が昆虫食害に応答してトライコーム密度を増加させる制御機構の解明
Project/Area Number |
06J03244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 祐樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 表現型可塑性 / 誘導防衛 / 分子遺伝学 / 細胞分化 / パターン形成 / ジャスモン酸 |
Research Abstract |
植物が昆虫食害や傷害を一度受けると、それ以後、よりトライコーム密度の高い葉を形成する誘導防衛現象について、モデル植物のシロイヌナズナを用いて遺伝学的な解析を進めている。前年度は傷害およびジャスモン酸に応答したトライコーム密度増加に異常が見られるunarmed9(urm9)突然変異体のマッピングを行い、urm9原因遺伝子の座乗領域を2番染色体の161kbの領域まで狭めていた。 本年度はまず上記161kb領域内に予測されている全遺伝子の塩基配列を網羅的に解読したところ、機能未知のタンパク質をコードするAt2g31480遺伝子と、インポーティンβファミリータンパク質をコードするAt2g31660遺伝子にそれぞれ塩基置換を見出した。形質転換による相補性検定の結果、At2g31660がurm9の原因遺伝子であることを明らかにした。インポーティンβは様々な積荷タンパク質を核に輸送する役割を担うことから、GL3などトライコーム密度を制御する転写因子タンパク質の細胞内局在がurm9変異体では異常になっているという仮説を立てた。緑色蛍光タンパク質で標識したGL3タンパク質の細胞内局在を観察したところ、urm9変異体においてGL3は核移行しているものの、核内で顆粒状に凝集するという異常な蓄積パターンを示すことを見いだした。転写因子であるGL3の細胞内局在の制御が、トライコームの分化において重要であるという報告はこれまでになく、植物の環境応答のみならず細胞分化メカニズムの解明に寄与する知見が得られた。
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Research Products
(3 results)