2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物が昆虫食害に応答してトライコーム密度を増加させる制御機構の解明
Project/Area Number |
06J03244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 祐樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 表現型可塑性 / 誘導防衛 / 分子遺伝学 / 細胞分化 / パターン形成 / ジャスモン酸 |
Research Abstract |
植物が昆虫食害や傷害を受けた後でよりトライコーム密度の高い葉を形成する誘導防衛現象について、モデル植物のシロイヌナズナを用いて遺伝学的な解析を進めている。前年度までに、トライコーム増加には傷害に応答したジャスモン酸シグナル伝達の活性化と、bHLH転写因子のGL3が必須であることを明らかにしている。 本年度はジャスモン酸によるGL3の発現調節機構を解析した。GL3タンパク質をGFPで標識してその発現を可視化したところ、GL3-GFPの蓄積はジャスモン酸処理後24時間で顕著に誘導された。かかるジャスモン酸応答性のGL3発現誘導は、urm9、ttg1やgl1各変異体の背景においても観察された。したがってジャスモン酸はURM9やTTG1、GL1などの既知のトライコーム分化に関与する遺伝子を介さずに直接的にGL3の発現を制御していることが示唆された。一方でGL3プロモーター制御下でGUSレポーター遺伝子を発現する植物体にジャスモン酸処理を与えたところ、レポーター遺伝子の発現はジャスモン酸による誘導を受けなかった。このことからジャスモン酸応答性のGL3の発現誘導にはプロモーター活性の変化と異なる機構が働いている可能性が考えられる。前年度までの結果と合わせて、GL3が植物のストレス応答(ジャスモン酸シグナル伝達)とトライコーム分化を仲介する重要な制御因子である可能性が強く支持された。 本年度はさらにurm1変異体の解析を行った。戻し交配の結果、urm1変異体はトライコーム密度調節の変異(真のurm1)に加えて、気孔の分布パターンが異常になる第二の変異(scrm-D)を持つことが明らかになった。urm1は一番染色体にマップされた。
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Research Products
(5 results)