2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体に由来する新規オルガネラ"ER body"の解析
Project/Area Number |
06J03246
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永野 惇 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ER body / 小胞体 / ベータグルコシダーゼ / ジャカリン様レクチン / 集団遺伝学 / シロイヌナズナ / タイリングアレイ / メタボローム |
Research Abstract |
シロイヌナズナの根に見られるオルガネラ"ER Body"の機能を明らかにするため、その構成たんばく質であるPYK10ベータ・グルコシダーゼの解析を行った。その結果、PYK10ベータ・グルコシダーゼは植物組織破壊後にジャカリン様レクチンと相互作用シ、数マイクロメートルにおよぶ巨大な複合体を形成することがわかった。また,ジャカリン様レクチンを欠損する変異体を単離し、解析したところそれらの変異体ではPYK10複合体が大きくなり、別のジャカリン様レクチンTAL31を欠損する変異体ではPYK10複合体が小さくなった。これらのことからシロイヌナズナは正反対の機能を持つジャカリン様レクチンをもち、その量比を変えることでPYK10複合体を適正な大きさに調節していることが分かった。PYK10は病傷害を受けた際、その基質を分解し抗菌物質などを産生すると考えられている。そこから推定するに、PYK10は巨大な複合体を形成することで菌などの分泌するプロテアーゼなどによる分解を免れていると考えられるが、一方、無秩序に複合体が巨大化すると酵素としての効率の低下を招くため、相反する機能のジャカリン様レクチンによって適正な大きさに保っているのであろう。現在、PYK10の天然気質を同定するため、かずさDNA研究所と共同でメタボローム解析を行っている。さらに、ER bodyの形成、維持に関わる機構を効率よく同定するため、低コストのタイリングアレイの開発とそれを利用した高速正遺伝学系の構築、及び進化集団遺伝学的解析を行った。
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