2007 Fiscal Year Annual Research Report
H/K-ATPaseの構造解析とイオン輸送の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
06J03248
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西澤 知宏 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | P-type ATPase / H / K-ATPase / 二次元結晶 / 極低温電子顕微鏡 |
Research Abstract |
これまでの研究経過において確立された二次元結晶化、および極低温電子顕微鏡による解析法を用いることで、AIFx-ADP結合型(E1P-ADP)、およびリガンド非結合型(E1)のそれぞれの結晶化条件において得られた二次元結晶を用いて、10枚程度の電子顕微鏡画像から得られた投影図を14Åの分解能でマージして比較した。Ca-ATPaseにおける三次元結晶構造解析では、いわゆるオープンステイトであるE1型と、リガンドの配位したE1-PADPではNドメインなどが大きく位置を変えている構造が報告されている。分解能があまり高くないために各ドメインをアサインすることはできなかったが、H/K-ATPaseにおいても同様な構造変化を伴っているのであればかなり異なった投影図を示すことが予想されたが、これら二つの投影図は非常に似通っていた。そこで、トリプシンを用いた限定分解を行うことで、H/K-ATPaseにおいて各反応サイクル中にどのような構造変化を伴っているのかを検証した。二次元結晶化に用いた2つの条件以外に、ATPアナログであるAMP-PCP結合型(E1-ATP)、リン酸アナログ結合型(E2P)なども同時に比較した結果、トリプシンによる切断性はCa-ATPaseの構造、及び過去に報告されたNa/K-ATPaseにおけるプロテアーゼ応答性などと非常によく一致していた。このことから、H/K-ATPaseにおいてもこれらと同様の構造変化を伴っていることが類推された。これら二つの結果を合わせると、H/K-ATPaseは他のP型ATPaseと同様な構造変化を伴っているが、E1型においてNドメインはCa-ATPaseの結晶構造ほど大きく開いていないことが予想された。
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