2006 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡を用いたチャネルタンパク質の構造と機能の研究
Project/Area Number |
06J03249
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
谷村 幸宏 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 構造生物学 / 極低温電子顕微鏡 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は水チャネルアクアポリン-4(AQP4)の水の透過の分子機構を構造解析によって解明することを目的としている。この構造解析を極低温電子顕微鏡を用いた電子線結晶学によって行う。二次元結晶作製にはAQP4M23Ser111Glu変異体を用いた。膜タンパク質の二次元結晶化には、目的タンパク質の発現、精製、結晶化の3つの工程が必要であり、各工程における最適条件の検索を繰り返し行った。発現には組換えバキュロウイルスとSf9細胞による大量発現系を用いた。凍結割断法を用いてSf9細胞膜での変異体の発現状況を観察し、結晶性アレイ状の集合体の形成を確認した。精製を試みたところ、得られた変異体精製標品には凝集体が存在した。結晶性アレイ形成能を有するAQP4からは二次元結晶が得られることがわかっていた為(日本生物物理学会第43回年会発表(2005))、凝集体形成の原因は発現タンパク質ではなく精製条件にあると予想された。条件検討の結果、膜画分洗浄時に得られるペレットの分離方法を改良し、ニッケルキレートアフイニテイ精製溶出液のpHを調製することで凝集体が形成されなくなる事がわかった。二次元結晶化を行ったところ、得られた結晶化溶液にはタンパク質のみから成る凝集体が多く存在し、結晶は形成されなかったが、これは変異体タンパク質が脂質と混合されにくい為だとわかった。そこで結晶化に用いる脂質の種類や透析緩衝液の種類・pHを検討し、LPRや透析溶液のイオン種や濃度等を調製することで二次元結晶を作製することができた。今後は結晶の形成頻度を高めるため、更に条件検討を行う。また、産業技術総合研究所構造生理研究グループの佐藤主税博士との共同研究としてTRPC3チャネルの単粒子解析に取り組み、極低温電子顕微鏡像の撮影を担当した。この結果はJ.Mol.Biol.367(2007)に掲載された。
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Research Products
(1 results)