2007 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡を用いたチャネルタンパク質の構造と機能の研究
Project/Area Number |
06J03249
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
谷村 幸宏 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水チャネル / アクアポリン-4 / 水の透過速度測定 / ストップトフロー光散乱法 / 二次元結晶化 / 膜タンパク質の精製 |
Research Abstract |
アクアポリン-4(AQP4)は脳に優性的に発現している水チャネルであり、脳内のイオンや水分子のホメオスタシスの制御を担っていると考えられている。複数種の脳疾患との関連が報告されており、特に脳浮腫におけるAQP4の役割が詳細に解明されつつある。脳浮腫は主に2種類に分類されており、細胞障害性浮腫はAQP4の水の透過を阻害することで、血管原性浮腫は透過を促進することで症状が緩和されることが示唆されている。AQP4の水の透過速度上昇の分子機構を解明する為に、野生型よりも透過速度が速いとされるAQP4Ser111Glu変異体の二次元結晶化を行った。精製した変異体蛋白質は凝集体を形成しやすい性質であった為、発現条件・精製条件・結晶化条件の検討を行った。各工程で得られた情報に対してフィードバックをかけて最適条件を検索し、二次元結晶の作製に成功した。AQP4の阻害剤は脳浮腫の治療薬の候補として注目されている。精製蛋白質を脂質二重膜に再構成して作製したプロテオリポソームを用いたストップト・フロー光散乱法によってAQP4の水の透過速度を測定し、阻害剤の検索を行った。Sf9細胞と組み換えバキュロウイルスを用いてAQP4を発現させ精製を行った。均一のプロテオリポソームを作製することが必須であるため、希釈法と撹拌法を組み合わせた独自のプロトコルを確立し、AQP4の阻害剤の同定に成功した。そして、濃度依存的に阻害効率が変化すること、washoutを行うことにより阻害効果が失われることも明らかにした。AQP4と同様の手法で発現・精製して作製したAQPプロテオリポソームに同定したAQP4阻害剤を投与して透過速度を測定したところ、AQP1に対しては阻害効果を持たないことがわかった。
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