2008 Fiscal Year Annual Research Report
極低温電子顕微鏡を用いたチャネルタンパク質の構造と機能の研究
Project/Area Number |
06J03249
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
谷村 幸宏 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アクアポリン-4 / アセタゾラミド / 電子線結晶学 / 阻害剤 |
Research Abstract |
脳に優勢的に発現している水チャネルアクアポリン-4(AQP4)の水の透過の分子機構の解明を目的として、電子線結晶学に基づくAQP4の立体構造解析に取り組み、2.8Åの構造解析に成功した。この構造解析により、ポアを透過する8個の水分子の位置を特定した。当研究室ではAQP1の構造解析を報告した際、AQP1の水分子のみを選択的に透過する分子機構、hydrogen bond isolation mechanismを提唱した。しかし他のグループによって異なるモデルが提唱され論議を呼んでいた。今回本研究によってAQP4のボアの水分子の位置関係を特定することで、当研究室が提示したhydrogen bond isolation mechanismを強く支持する結果が示された。これらの研究成果をJournal of Molecular Biologyに発表した。また、AQP4に特異的な阻害剤の同定に取り組んだ。リコンビナントの系により発現・精製した水チャネルを人工脂質膜に再構成してプロテオリポソームを作製し、ストップトフロー光散乱法を用いて薬剤の効果を測定した。そして、炭酸脱水酵素阻害剤アセタゾラミド(AZA)がAQP4の水の透過を阻害し、かつAQP4と相同性の高い水チャネルAQP1の水の透過を阻害しないことを明らかにした。また、化学式がAZAと非常に似ており、同じ炭酸脱水酵素阻害剤ファミリーに属するメタゾラミド(MZA)が、AQP4とAQP1の水の透過を阻害しないことも明らかにし、AQP4に特異的に結合する化合物の鍵となる化学式を提示した。更に、AZAが濃度依存的にAQP4に結合し、かつその作用が可逆的であることを明らかにし、AZAがAQP4の特異的かつ可逆的な阻害剤であることを証明した。これらの研究成果はJournal of Structural Biology 166,16-21(2009)に掲載された。
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Research Products
(4 results)