2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松浦 清人 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 追従眼球運動 / adaptation / 色運動 / 相互抑制 / 運動検出 |
Research Abstract |
1.逆方向に動く2つのフーリエ成分(3f,5f)を組み合わせた刺激(3f5f刺激)で引き起こされる追従眼球運動はそれぞれの成分の動く方向をコードするニューロンが抑制しあう相互抑制のモデルで説明できることを昨年示した。この刺激の前に一定時間静止刺激を提示した時、相互抑制のバランスが変化するか否か、変化するときはいかに変化するかを調べた。2成分が逆向きに動く1f3f刺激を用い、この刺激を動かす前に1f静止刺激、3f静止刺激、1f3f静止刺激を一定時間提示した時の追従眼球運動をそれぞれ計測した。追従眼球運動の開始部に着目すると、1f3f静止刺激を提示した時に比べ、1f静止刺激を提示した時の方が眼球運動は3f側に引き寄せられ、3f静止刺激を提示した時の方が1f側に引き寄せられた。これは提示した静止刺激の空間周波数成分をコードするニューロンでadaptationが起こり、感度が低下して、相互抑制のバランスが崩れたためだと考えられる。 2.追従眼球運動が輝度以外の刺激属性で定義されるパターンの運動を検出できるか否か調べた。物理的等輝度で色度コントラストのみ存在する刺激を動かしたところ、追従眼球運動は引き起こされた。これは色度コントラストのある刺激は物理的には等輝度であっても網膜上の受容体の感度から見ると等輝度といえない可能性があることを示唆している。そこで、色度コントラストを一定にして輝度コントラストを変化させた時の追従眼球運動の変化を調べた。その結果、輝度コントラストを若干含んでいるときに追従眼球運動が最小となった。追従眼球運動が最小となるこの点がヒトの感じる等輝度に相当すると考えられ、物理的等輝度とヒトの感じる等輝度が異なることが分かった。また、ヒトの感じる等輝度点でも追従眼球運動は生じており、輝度以外の刺激属性で定義されるパターンの運動を検出できることが示された。
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Research Products
(3 results)