2007 Fiscal Year Annual Research Report
リン-リン結合のホモリシス開裂を利用した新規リン原子導入法の開発
Project/Area Number |
06J03278
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 章徳 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラジカル反応 / C-H活性化 / トリアルキルボラン / 空気酸化 |
Research Abstract |
(1)ラジカル反応によるC-H結合のC-S結合への変換反応 キサントゲン酸エステルのチオカルボニル基は炭素ラジカルと反応し、炭素ー硫黄結合が生成する。もし、炭素-水素結合から炭素ラジカルを発生させることができれば、キサントゲン酸エステルと反応させることにより、有機化合物の炭素ー水素結合を炭素ー硫黄結合に変換できるのではないかと考えた。 アルゴン雰囲気下、THF中でキサントゲン酸 0-エチルS-3,3-ジメチル-2-オキソブチルを触媒量の過酸化ラウロイルとともに加熱すると、溶媒であるTHFのC-H結合がC-S結合に変換された目的化合物が生成した。本反応は種々のエーテル系溶媒および環状炭化水素に適用可能である。また、クラウンエーテルの直接官能基化も可能である。配位性の元素を有する側鎖をクラウンエーテルに導入することにより、より強力な配位能を有する新たなクラウンエーテルの合成が可能となると期待される。 (2)トリアルキルボランを酸素補足剤として用いる有機化合物の空気酸化 トリアルキルボランは酸素分子と反応し、アルキルラジカルが発生する。ここでアルキルラジカルではなく、同時に発生していると考えられるホウ素過酸化物に着目し、これを有機化合物の酸化に用いることができないかと考えた。空気中室温で、トリフェニルホスフィンのTHF溶液に0.6当量のトリエチルボランを加えて20分撹絆したところ、トリフェニルホスフィンオキシドが定量的に生成した。またアルゴン雰囲気下、酸素分子換算で1.5当量の空気を細かい泡として系中に加えることで、トリフェニルポスフィンの酸化が室温で瞬時に完了することも確認できた。本反応はトリフェニルホスフィン以外にも種々のアルキルおよびアリール置換のホスフィンに適用可能である。また、亜リン酸エステルはリン酸エステルに、スルフィドはスルホキシドに、それぞれ酸化できることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)