2007 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-炭素結合切断を鍵とする新規遷移金属触媒反応の開発とその有機合成への応用
Project/Area Number |
06J03290
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 真二 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニッケル / シクロブタノン / エンイン / [4+2+2] / β酸素脱離 |
Research Abstract |
遷移金属触媒を用いた多成分による付加環化反応は、複数の炭素-炭素結合を原子効率良く生成し、多様な環状化合物を構築する有用な手法である。本研究では、ニッケル触媒によるシクロブタノンとエンインの[4+2+2]型環化反応を達成した。シクロブタノンとエンインをトルエン中ニッケル(0)触媒存在下、加熱撹拌レたところ、ビシクロ[6.3.0]ウンデセノンが良好な収率で得られた。形式的にシクロブタノンのカルボニル炭素とα位炭素間にエンインのアルキン部位とアルケン部位が挿入し、2環性の8員環炭素骨格を[4+2+2]型環化生成物として与えている。挿入する不飽和部位の位置選択性に関しては、エンインのアルキン部位がシクロブタノンのカルボニル基側に挿入した生成物のみ得られている。機構的には、まずシクロブタノンのカルボニル基、エンインのアルキン部位とアルケン部位、およびニッケル(0)から4員環骨格を有するスピロ型7員環オキサニッケラサイクルが生成し、そこからβ炭素脱離により環が拡大して、9員環ニッケラサイクルとなり、そして最後に還元的脱離を経て進行するものと考えている。本反応はエンインのアルキン末端にメチル基やエチル基を有していても反応は進行するが、末端アルキン部位やメタリル基を有するエンインは適用できない。また、エンインの架橋部としては、炭素架橋のものでは収率良く反応が進行し、酸素架橋や窒素架橋でも収率は低下するものの対応する生成物を与えた。我々は以前にシクロブタノンとジインの[4+2+2]型環化反応を報告している。エンインを用いた本反応はその結果とあわせて、効率的な2環性の8員環骨格構築手法である。
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Research Products
(1 results)