2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-炭素結合切断を鍵とする新規遷移金属触媒反応の開発とその有機合成への応用
Project/Area Number |
06J03290
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 真二 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビニグロール / ジテルペン / 全合成 / グローブ開裂 / 炭素-炭素結合の切断 / デカハイドロ-1,5-ブタノナフタレン / 生理活性 / 官能基変換 |
Research Abstract |
ビニグロールは1987年にHashimotoらによって菌株Virgaria nigra F-5408から単離されたジテルペンであり、特異なデカハイドロ-1,5-ブタノナフタレン骨格を有していること、様々な生理活性を示すことから、これまでにも多くの全合成研究が行われてきたが、いまだ全合成が達成されていない。米国スクリプス研究所化学科のフィル・バラン教授の研究室ではグローブ開裂による炭素-炭素結合の切断を利用して、デカハイドロ-1,5-ブタノナフタレン骨格の構築を達成している。そこで本研究では、その骨格構築手法を用いてビニグロールの全合成を達成すべく検討を行った。すでにバラン研究室で合成されていたケトンに対して、LDAを用いてメチル基を導入した。脱保護、カルボニル基の還元、水酸基のメシル化の後、グローブ開裂により環拡大したアルケンを得た。次に2箇所あるアルケン部位の片方のみをブロモイソオキサゾリンとし、カルボニル基を還元した後、もう片方のアルケン部位をCrabtree触媒で還元した。イソオキゾリンのアルコール部位をチュガエフ脱離によりアルケンへと変換したのち、ブロモイソオキサゾリン部位をLAHでアミノアルコールヘと還元した。続いてアミノ基をイソニトリル基へと変換した後、ラジカル条件でイソニトリル基を脱離させた。この合成ルートをもとにビニグロールの全合成を達成すべく種々検討を重ねたが、現時点では全合成を達成するには至っていない。以上本研究では、グローブ開裂による炭素-炭素結合の切断を利用した骨格構築手法を用いてビニグロールの全合成を達成すべく、必要な官能基変換を部分的に達成した。
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