2007 Fiscal Year Annual Research Report
大規模系のための高精度理論の開発と遷移金属錯体への応用
Project/Area Number |
06J03296
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 裕也 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 計算化学 / 理論化学 / 遷移金属錯体 / 触媒反応 / 高精度計算 |
Research Abstract |
大規模遷移金属錯体の高精度計算を行うためには、現実系の分子が持つ電子的効果と立体効果を再現するような合理的なモデル化を行わなければならない。平成18年度はトリアルキルホスフィン配位子としてPMe_3配位子をモデル化する有効ポテンシャルを作成したが、平成19年度は、更にPEt_3,PiPr_3,PtBu_3をモデル化する有効ポテンシャルを作成した。これらの有効ポテンシャルは、配位子のフロンティア軌道エネルギーを再現するように作成されたので、本手法をFrontier Orbital Consistent Quantum Capping Potential法(FOC-QCP)法と名づけた。また、立体効果を取り込む手法として、steric repulsion correctioh(SRC)を考案した。 FOC-QCP法とSRCを組み合わせることによって、Pt(R^l)_2(PR^2_3)_2 [R^l=Me,H.R^2=Me,Et,iPr,tBu]錯体からのエタンおよび水素分子の還元的反応のエネルギー変化を求めた。FOC-QCP+SRC法は、現実系のエネルギー変化を2 kcal/mol以内の誤差で再現した。また、本手法を用いることによって、計算コストはモデル化を行わない場合に比べて30分の1以上軽減され、従来は不可能であったCCSD(T)計算が可能となった。また、本手法を用いて、[Rh(PiPr_3)_2Cl]_2へのCO,N_2,H_2,C_2H_4分子の配位エネルギーを計算し、実験値と比較した。DFT法では、モデル化を行わない計算においても実験値から20 kcal/mol程度ずれたが、FOC-QCP+SRC法を用い、CCSD(T)+MP2レベルで計算したところ、実験値との誤差は3 kcal/mol程度となった。
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Research Products
(7 results)