2006 Fiscal Year Annual Research Report
大規模系のための高精度理論の開発と遷移金属錯体への応用
Project/Area Number |
06J03296
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 裕也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 計算化学 / 理論化学 / 遷移金属錯体 / 触媒反応 / 高精度計算 |
Research Abstract |
1.実在する遷移金属錯体が関与する触媒反応の一つとして、ルテニウム錯体による二酸化炭素の水素化反応に関する理論的研究を行い、反応機構を明らかにすると共に、反応系中に存在する微量な水が果たす反応促進効果について明らかにした。 2.電子状態が複雑な遷移金属錯体によって起こる化学反応の一つとして、ニッケル錯体による炭素-炭素結合、および水素一水素結合活性化反応の理論的研究を行い、ニッケル錯体に対して有効な計算方法。基底関数系を明らかにした。また、本反応において重要な電子状態の変化についても明らかにし、電子構造に基づいた統一的な理解を与えることに成功した。 3.実在する遷移金属錯体が関与する触媒反応の一つとして、ニッケル錯体によるアルキンのアリールシアノ化反応に関する理論的研究を行い、反応の律速段階、生成物の位置選択性の理由を明らかにすることに成功した。また、ルイス酸の添加による反応促進効果の理由についても明らかにした。 4.嵩高い置換基をモデル化するための官能基有効ポテンシャルを新規に開発した。本手法をトリメチルホスフィン基のモデル化に用い、白金、パラジウム、ニッケルビストリメチルホスフィン錯体によるエタン分子の炭素-炭素結合活性化反応のエネルギー変化を求め、本手法の有効性を確認した。本手法を用いることにより従来はよりも20分の1程度の計算コストで高精度計算を行うことが可能となった。また、本手法を実在する大きなニッケル錯体(Ni(dippe))によるアセトニトリルの炭素一炭素結合活性化反応に適用し、従来の低精度な計算方法では再現することができなかった実験結果を、高精度計算によって再現することに成功した。
|
Research Products
(1 results)