2008 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒効果を取り込んだ金属錯体の電子状態に関する理論的研究
Project/Area Number |
06J03297
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 大輔 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 積分方程式理論 / 溶媒和理論 / 量子化学計算 / 水和構造 / RISM法 |
Research Abstract |
1.溶媒和積分方程式理論の並列化計算 タンパク質を取り囲む水分子、および内部に取り込まれた水分子はタンパク質の3次元構造や機能を解明する上で非常に重要である。これを従来の分子シミュレーションで理論的に計算すると、十分信頼性のある統計平均をとるためには、非常に長時間の計算を必要とした。 そこで申請者は、高並列計算が可能な溶媒和積分方程式の導出を行った。これにより、タンパク質周辺の水和構造を、適切に計算することが可能になった。本年度はこの方法を用い、バクテリオロドプシンの内部水の解析、および抗Fvダンシルフラグメント周辺の水和構造を詳細に検討した。 2.電子の広がりを露に考慮したRISM-SCF法(RISM-SCF-SEDD法)の開発 積分方程式理論の一つであるRISM法と量子化学計算を組み合わせたRISM-SCF法は、溶液中の電子状態が計算できるだけでなく、溶質分子周辺の溶媒和構造も計算できる非常に有用な方法である。しかし、従来のRISM-SCF法では、本来電子がもつ空間的な広がりを無視しているため、幾つかの分子で非物理的な結果しか得られない場合があった。 前年度までに、申請者は電子の広がりを考慮したRISM-SCF法(RISM-SCF-SEDD法)の開発を行った。これにより、RISM-SCF法の適用できる分子を大幅に増やすことに成功した。本年度は、溶液中の分子の構造最適化を行うために、新規RISM-SCF法の下で、核座標に対するgradientを与える式の導出、ならびにプログラムの開発を行った。さらに、より高精度の計算を行うために、本方法を密度汎関数理論とCoupled Cluster法と組み合わせた。このプログラムを用いて、溶媒効果が非常に重要になる水溶液中の分子の構造最適化計算、および互変異性化反応の解析を行い、実験結果を非常によく再現することに成功した。
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Research Products
(4 results)