2006 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒効果を取り込んだ金属錯体の電子状態に関する理論的研究
Project/Area Number |
06J03297
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 大輔 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 3次元溶媒和構造 / 積分方程式 / RISM法 / RISM-SCF法 |
Research Abstract |
1.3次元溶媒和構造の解析のための新規方法 溶質周辺の局所的な溶媒和構造をより詳しく解析するために、動径分布関数から3次元溶媒和構造を再構築する方法と、実球面調和関数を用いた3次元溶媒和構造を与える新規積分方程式の開発を行った。前者は、既存の溶媒和理論のみならず、中性子散乱実験などの実験的手法から得られる動径分布関数を用いて、3次元溶媒和構造を再構築する理論である。これにより、動径分布関数のみから考察することが困難であるような場合においても、再構築した3次元溶媒和構造を用いてより明確な解析を行うことが可能となった。後者の理論では、直接3次元溶媒和構造を与えることができる。本方法は3次元溶媒和構造を非常に精度良く算出できるのみならず、様々な分子の水和自由エネルギーも従来法に比べ、より実験値に近い値を与えることが明らかとなった。 2.適用できる系を飛躍的に向上させた、新規RISM-SCF法の開発 溶媒和積分方程式の一つであるRISM法と量子化学計算を組み合わせた方法がRISM-SCF法である。従来のRISM-SCF法では、溶質の構造が複雑になると、解が得られないなどの問題があった。申請者は詳しく解析を行うことで、従来法で電子の広がりを無視している点が間題であることを明らかにした。そこで、電子の広がりも考慮した新規RISM-SCF法を開発した。新規方法は、従来法では困難であるような複雑な溶質に対しても、安定して解が得られることがわかった。さらに、本方法は得られる溶媒和構造の精度を大きく改善できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)