2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J03301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 重樹 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | フォトニック結晶 / 自然放出制御 / 3次元フォトニック結晶 / 斜めエッチング |
Research Abstract |
本年度の研究では,昨年度に引き続き2方向斜めエッチングによる新たな3次元フォトニック結晶作製技術の開発,及びその理論検討をおこなった.まず,斜めエッチングにおいて深さ方向の中央部でエッチング孔幅が広がる現象(ボーイング)が3次元フォトニック結晶の特性へ与える影響について検討を行った.平面波展開法による理論解析の結果,深さ方向の中央部でストライプ幅が60%減少するボーイングが発生した場合,フォトニックバンドギャップ(PBG)が消滅するという結果が得られた.これは,ボーイングが3次元フォトニック結晶の性能に少なからず影響することを示しており,十分に大きなPBG幅を維持するには,中央部でのストライプ幅の減少を20%以下に抑制する必要があることがわかった.次に,エッチング角度の影響について,平面波展開法と時間領域差分法(FDTD法)を用いて検討を行った.その結果,PBG幅という点からは,最適の角度は45度であり,また,3次元フォトニック結晶の光閉じ込め性能に大きく影響を与える基板鉛直方向の光の減衰率に関しても,エッチング角度を45度にすることによって,40度の場合の約1.4倍に改善することが明らかとなった.以上の理論検討結果を踏まえ,実際にプロセス技術の改善に取り組んだ結果,ボーイングを十分に抑制し,理想的な角度45度,深さ2周期の斜めエッチングを実現した.この技術によって作製した3次元フォトニック結晶試料は,PBG帯域において明瞭な透過率の低下(-22dB)および反射率の増大(97%)を示した.これは3次元結晶として現状で世界でもトップクラスの特性であり,斜めエッチングを用いた新たな作製法の有用性を明快に実証することに成功した.
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