Research Abstract |
本年度の研究では,まず,斜めエッチング技術のさらなる向上を図るため,プラズマプロセスの数値解析モデルを構築し,理論・実験の両面から検討を行なった.プラズマエッチングにおけるイオンシース長の値は数十μm〜数mmであり,基本的にシースは半導体ウエハ表面に沿って形成されるため斜めエッチングは不可能である.そこで本研究では,イオンシース制御板をウエハ上方に設置し,ウエハ表面に形成されるイオンシースおよびシース電界を直接制御する技術を開発している.この技術を解析するために求めるべき情報は,シース端位置,シース内の電荷分布(イオン軌道),シース内の電位分布,の3つであるが,これらの間には相互依存関係が存在するため,自己無撞着法を適用することによって解を導出することができる.この自己無撞着イオンシース解析法の構築によって,イオンシース制御板の効果を効率的にシミュレーションすることが可能になった.様々な制御板構造,様々なプラズマパラメータのもとで解析を行った結果,本エッチング技術の特徴を定性・定量的に明らかにすることに成功した.また,大面積処理が可能な電界制御板の設計を行い,本技術が工業的にも有用であることを示した.さらに,複数方向のエッチングを同時に行う新たな技術を提案した.これらの技術は,半導体微細加工用に広く普及しているプラズマエッチング装置をそのまま転用でき,あらゆる半導体デバイスにおいて,新たな微細加工法として応用できる可能性を持っている.以上の技術を用い,様々な格子定数で3次元フォトニック結晶を作製した結果,近赤外領域において光通信波長帯を網羅して自在にフォトニックバンドギャップ帯域を制御することにも成功した.
|