2006 Fiscal Year Annual Research Report
還元性末端修飾型セルロースの自己組織化挙動制御と高次構造の構築
Project/Area Number |
06J03319
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ロジャース 有希子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 還元性末端 / 架橋 / ラジカル重合 / 長鎖疎水基 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、還元性末端架橋型セルロースの一次構造および自己組織化挙動の制御により、化合物の一次一高次構造相関に関する知見を得ること、さらにその高次構造構築法を確立することである。 本年度は、「還元性末端の架橋により安定な高次構造を維持した、セルロースナノ粒子の調製、その溶液中における自己組織化挙動および高次構造解析を行う」ことをテーマとし、セルロース誘導体の還元性末端間の重合を試みた。 まずセロビオースを用いたモデル反応により、還元性末端の反応性を確認した。セロビオースアセテートの還元性末端位置特異的重合性官能基メタクリロイル基を導入した新規のモノマーを調製した。計画に沿ってこのモノマーを原子移動ラジカル重合に供したところ、ほぼ単分散のポリマーが得られ、高度な規制重合に成功した。しかし、重合度が9-19にとどまり、高分子量のポリマーは得られなかった。そこでさらに高分子量のポリマーを得るために、AIBNを開始剤に用いたフリーラジカル重合に供したところ、分散が大きいものの、重合度が100-1600の範囲の高分子量ポリマーを得ることに成功した。さらにセロビオース部分の保護基であるアセチル基をDBUを用いて除去した。NMRスペクトルから、糖鎖部分がポリメタクリレート鎖から脱離せずに保持されていることを確認した。現在この方法をセルロース(DPn=13)に適用し、還元性末端の架橋について反応条件を検討している。 今後、長鎖疎水基の長さ、セルロースの重合度により親水疎水バランスの異なる誘導体を調製し、得られた誘導体の自己組織化挙動や構造解析を行い、セルロース誘導体の高次構造構築指針を確立し、その機能性を検討する予定である。
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