2007 Fiscal Year Annual Research Report
還元性末端修飾型セルロースの自己組織化挙動制御と高次構造の構築
Project/Area Number |
06J03319
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ロジャース 有希子 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルロース / 還元性末端 / 重合 / 櫛型ポリマー / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、還元性末端架橋型セルロースの一次構造および自己組織化挙動の制御により、化合物の一次-高次構造相関に関する知見を得ること、さらにその高次構造構築法を確立することである。本年度は、「還元性末端の架橋により安定な高次構造を維持した、セルロースナノ粒子の調製、その溶液中における自己組織化挙動および高次構造解析を行う」ことをテーマとし、セルロース誘導体の還元性末端間の重合を試みた。 まずセルローストリアセテート(DPn=13)の還元性末端位置特異的にメタクリロイル基を導入し、マクロモノマーCTA13-MAを調製した。これを、AIBNを開始剤として単独重合に供したが、数平均重合度は1.35までしか増加しなかった。そこでCTA13-MAとメタクリル酸メチル(MMA)との共重合を行った。SEC-MALSおよびNMR測定の結果、共重合により得られたコポリマー1はPMMA鎖を主鎖、CTA鎖を側鎖に有する櫛型コポリマーであり、その絶対分子量はMw=63000、組成はDP(MMA)=414、DP(CTA13-MA)=3,86であると算出された。さらにDBUを用いてアセチル基の除去を行い、セルロースを側鎖に有する目的の櫛型コポリマー2を得た。 DSC測定による熱分析の結果、コポリマー2はPMMA鎖由来のガラス転移点(Tg)(1245℃)のみを示し、これはPMMAホモポリマーのTg(120.4℃)よりも高かった。またセルロースは分解点(283.2℃)のみを有しTgを示さなかったことから、PMMA鎖とセルロース鎖が相分離し、セルロース鎖がPMMA鎖の運動性を減少させていることが示唆された。X線回折測定の結果、コポリマー2はPMMA由来の非晶の回折パターンを示した。これはセルロース側鎖の数の少なさに由来すると考えられる。 今後、コポリマーの形態やセルロース鎖の配向状態について検討を続ける。
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Research Products
(1 results)