2009 Fiscal Year Annual Research Report
還元性末端修飾型セルロースの自己組織化挙動制御と高次構造の構築
Project/Area Number |
06J03319
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ロジャース 有希子 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルロース / トリアセテート / 還元性末端 / 金ナノ粒子 / 自己組織化 |
Research Abstract |
セルローストリアセテート(CTA)は、有機溶媒に優れた溶解性を示しかつ優れたフィルム形成能を有している。またナノレベルに分散した金粒子はそのサイズや配列に応じて異なる光学特性、電気特性、触媒活性を有することが知られている。チオールあるいはジスルフィド基を有する化合物は金の表面に結合し、分散剤として機能する。高分子はとくに安定な金ナノ粒子の分散保護剤や機能付与材料として有用である。本研究では、新たな高機能性セルロース材料の創製を目的として、CTAにより保護された金ナノ粒子を調製し、そのサイズや配列の制御を試みた。まず還元性末端位置特異的に金結合性のジスルフィド基を有するCTA誘導体(DPn=2,13,41)を調製した。この誘導体とテトラクロロ金酸を水素化ホウ素ナトリウムにより還元し、CTAが表面に自己組織化して結合した金ナノ粒子(CTAAu)を得た。CTAAuは金ナノ粒子が均一に分散したフィルムを形成していた。TEM観察の結果、金コアの直径は約8-13nmであり、CTAが金ナノ粒子の保護剤として有用であることがわかった。また金粒子間距離はCTA分子鎖長とよく一致した。つまり剛直なCTA鎖が金粒子のスペーサーとして機能していることが示され、金粒子の配列がCTAの一次構造で制御可能であることが見出された。また動的光散乱(DLS)測定の結果、金ナノ粒子はクロロホルム中でよく分散し、CTAが溶液中においても優れた金の分散剤となることが確認できた。本研究で調製したCTA金ナノ粒子は溶液中で安定に分散し、固体状態でも金の配列の制御されたフィルムを形成したことから、セルロースと金からなる新規の有機無機ハイブリッド材料としての可能性が示された。
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Research Products
(3 results)