2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子v-Srcがん化細胞における細胞骨格タンパク質ビネキシンの機能解析
Project/Area Number |
06J03326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅本 勉 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | がん細胞 / 細胞骨格 / v-Src / ビネキシン / 細胞接着 |
Research Abstract |
我々が解析を進めているタンパク質ビネキシンは、細胞-細胞外基質間の接着を補助するインテグリン裏打ちタンパク質の一つである。我々はこれまでに、マウス線維芽細胞NIH3T3株をがん遺伝子v-Srcによりがん化すると、ビネキシンαの発現が抑制されるとともに、チロシンリン酸化を受けることを明らかにしていた。昨年度はそのリン酸化の意義を明らかにするため、非リン酸化型ビネキシン変異体を作成し、v-Srcがん細胞における細胞内局在や細胞内での機能の違いを解析した。まず細胞内局在の違いについて調べたところ、野生型と非リン酸化型のいずれも、接着斑に局在することが分かった。続いてリン酸化がビネキシンの結合タンパク質との結合能に違いを及ぼすかを検証した。共免疫沈降法を用いて結合能を比較したところ、野生型ビネキシンαは非リン酸化型ビネキシンαに比べ、同じインテグリン裏打ちタンパク質であるビンキュリンとの結合が低下していることが分かった。一方、細胞増殖に関与するMAPキナーゼERKや、チロシンキナーゼAblとの結合には変化が無かった。さらに、非リン酸化型ビネキシンαの方が発現効率が低かったことから、タンパク質の分解速度についても比較を行ったところ、非リン酸化型の方が細胞内で速く分解を受けることを明らかにした。ビネキシンのチロシンリン酸化がビネキシンの機能に変化を引き起こすことは判明したが、がん形質にどのような影響を及ぼすかはいまだ不明である。ビンキュリンは、細胞の増殖や運動能を抑制し、さらに細胞にアポトーシス感受性を付与することでがん形質の抑制に機能していることが報告されている。ビネキシンとビンキュリンとの結合が、ビネキシンのチロシンリン酸化によって低下することに着目し、今後はビネキシンがビンキュリンとの結合を介してがん形質に関与する可能性について解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)