2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん遺伝子v-Srcがん化細胞における細胞骨格タンパク質ビネキシンの機能解析
Project/Area Number |
06J03326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅本 勉 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | がん細胞 / 細胞接着 / v-Src / ビネキシン / 細胞骨格 |
Research Abstract |
我々が解析を進めているタンパク質ビネキシンは、細胞-細胞外基質間の接着に関わる細胞接着斑タンパク質の一つである。我々はこれまでに、マウス線維芽細胞NIH3T3株をがん遺伝子v-Srcによりがん化すると、ビネキシンの発現が抑制されることや、その発現抑制に関わるシグナル経路を明らかにしてきた。また、NIH3T3 v-Srcがん細胞ではビネキシンがチロシンリン酸化を受けることや、それがビネキシンの機能に与える影響について明らかにしてきた。しかし、細胞のがん化に伴うビネキシンの発現低下ががん細胞の悪性形質にどのような影響を及ぼすかは未だ不明であったため、本年度はその解明を試みた。ビネキシンの発現が低下しているv-Srcがん細胞にビネキシン遺伝子を導入して発現量を増加させた細胞を作成した。この細胞とビネキシンを導入していない細胞、および正常細胞の三者で、細胞の運動能を比較した。運動能の評価には、細胞外基質であるフィブロネクチンに対する遊走度を測定する方法を用いた。その結果、ビネキシン遺伝子の導入により、フィブロネクチンに対する細胞の運動能が低下することが分かった。これらの結果は、がん化によるビネキシンの発現低下が細胞の運動能亢進に寄与していることを示している。本年度までの研究により、細胞接着分子ビネキシンががん細胞において、細胞の運動能亢進などの重要ながん形質に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)