2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病因ペプチド凝集体の固体NMRによる立体構造解析
Project/Area Number |
06J03327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 裕一 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / 凝集 / 神経細胞毒性 / 固体NMR / 立体構造解析 / ターン / 静電的相互作用 |
Research Abstract |
アルツハイマー病因ペプチドであるβアミロイド(Aβ42)は、凝集することにより神経細胞毒性を示す。本研究代表者らは最近、Glu-22、Asp-23付近にターン構造を有する毒性コンホマーの形成が、Aβ42の凝集および毒性発現において重要であることを明らかにした。本研究は、22、23番目でターン構造をとりやすい配列をもち、かつ凝集能が高いE22K(Italian変異型)に着目し、Aβ42による毒性発現機構を解明することを目的としている。 E22K-Aβ42では、Lys-22とAsp-23の側鎖間の静電的相互作用により毒性コンホマーの形成が促進されることから、22、23番目の側鎖をアミド結合で連結した毒性コンホマーの配座固定アナログであるAβ42-lactam(22K-23E)を化学合成した。Phenyl-tert-butyhlitrone(PBN)をスピントラップ剤として用いた電子スピン共鳴(ESR)法による解析において、本アナログは顕著に高いラジカル産生能を示した。さらに、本アナログを電気泳動法とウエスタンブロッティングにより分析した結果、神経細胞毒性が非常に高いオリゴマーを形成しやすいことが明らかとなった。以上の結果から、毒性コンホマーの形成がラジカル産生を誘導し、オリゴマー化の引き金となることが示唆された。 一方、E22K-Aβ42凝集体の分子間β-sheet構造を、^13C-^13C距離を選択的に解析できる固体NMR法であるrotational resonance法を用いて解析した。その結果、β-sheet鎖のAla-21およびAla-30の位置における分子間距離が6Å以内であることが示唆された。このことは、E22K-Aβ42凝集体が分子間平行β-sheetを形成していることを強く支持している。
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Research Products
(8 results)