2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病因ペプチド凝集体の固体NMRによる立体構造解析
Project/Area Number |
06J03327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 裕一 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / 凝集 / 神経細胞毒性 / 固体NMR / 立体構造解析 / β-シート / ラジカル |
Research Abstract |
アルツハイマー病因ペプチドである42残基のβアミロイド(Aβ42)は、凝集して神経細胞毒性を示すことから、Aβ42の凝集機構の解明が強く望まれている。しかしながら、Aβ42は不溶性かつ非結晶性であるため、溶液NMRやX線結晶構造解析などの高分解能構造解析法を適用できない。本研究は、非晶質固体の構造解析に適用可能な固体NMRを用いて、Aβ42の凝集ならびに毒性発現機構を解明することを目的としている。 Aβ42の神経細胞毒性発現機構の一つとして、ラジカル産生による酸化ストレスが注目されている。本研究代表者らは最近、38、39番目にターン構造を有するC末端分子内β-シートの形成により、毒性を示すラジカル種であるMet-35の硫黄ラジカルカチオンが、Ala-42のC末端カルボキシルアニオンにより安定化され、長期に渡る酸化ストレスを誘導することを示唆した。本反応により電荷が消失したC末端分子内β-シートが疎水性の核となり、安定化されたラジカルが長期的な酸化ストレスを引き起こすものと考えられる。本モデルを検証する目的で、Aβ42凝集体におけるこれらの残基間距離を固体NMRにより測定した。Aβ42凝集体のMet-35とAla-42を^<13>Cで標識し、炭素間距離を選択的に測定できるR2(rotational resonance)法で解析した。その結果、Met-35の側鎖炭素とAla-42のカルボキシル炭素は6Å以内の距離にあり、C末端カルボキシルアニオンがMet-35の硫黄ラジカルカチオンを安定化できる位置にあることが明らかになった。本研究で同定された38、39番目のターン構造を特異的に認識して排除する抗体は、アルツハイマこ病の新しい治療戦略になることが期待される。
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Research Products
(16 results)