2006 Fiscal Year Annual Research Report
サヘル地域での「風食」をめぐる肥沃度動態の解明とそれに基づく砂漠化対処技術の提案
Project/Area Number |
06J03341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊ヶ崎 健大 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 砂漠化 / 西アフリカ・サヘル地域 / 風食 / 風成物質の移動 / 粗大有機物 / 風成物質捕捉装置 / 砂漠化対処技術 / 休閑植生 |
Research Abstract |
1.耕地内休閑システムの有用性の検証 本年度は計画初年度のため、国際半乾燥熱帯作物研究所サヘルセンター(ISC、ニジェール共和国)内の試験圃場においては、システムの有用性検証試験の準備を行い、同国ファカラ地域においては、試験に適した農家圃場の選定が速やかに終了したことから、有用性検証試験を開始した。具体的な実施内容としては、ISCでは圃場の整備を進め、来年度から検証試験を開始できるようにした。一方ファカラ地域においては、耕地内に風食を起こす風向きに対して垂直をなす様に幅5mの休閑帯を複数設け、風成物質(風により運ばれる土壌粒子と粗大有機物)の移動のモニタリングを開始した。この際、休閑宿と休閑帯に挟まれた耕作帯の隔が14.5m、29m、58mと異なる3区画を設け、風食抑制と耕作可能面積の観点から休閑帯と耕作帯の最適な間隔を決定できる様にした。 試験開始から1年が経過していないため、現段階では耕地内休閑システムの有用性を検証するのに十分なデータは得られていない。しかしながら、2007年5月には5mの幅の休閑植生によって一年間に捕捉される風成物質の量が明らかとなり、2007年10月には捕捉された風成物質の量とその作物収量への影響を評価できる。また、これらの結果を上記3区画で比較することで、休閑帯と耕作帯の最適な間隔を決定することも可能となり、全体として耕地内休閑システムの有用性を検証できる。 2.風成物質捕捉装置のより正確な捕捉効率の測定 これまで、修土研究において開発した風成物質捕捉装置の捕捉効率は風速によってのみ変化するとしてきたが、砂嵐の風向に対する装置の傾きが捕捉効率に影響を与える可能性が考えられたため、新たな風洞実験を通して砂嵐の風向に対する装置の傾きと捕捉効率の関係を求めた。これにより、現地で実測中の風成物質の移動量をより正確に見積もることができるようになった。
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